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ご挨拶

このたびは藤田筆跡解析鑑定所株式会社のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。
弊社は2020年11月2日にたくさんの方々のお支えにより、法人化しました。このホームページは、法人よりオーソライズされた公式なホームページです。

当鑑定所は2008年筆跡鑑定の基礎研究をはじめ、2012年6月に標本推定のt分布を主体とした筆跡鑑定と印影鑑定の事業化を始めました。
いわば測定によるデーターサイエンスを利用した筆跡鑑定と印影鑑定の開発を続けてきました。

改めて説明するまでもなく、データサイエンスは数学、統計学、人工知能、コンピュータサイエンス、プログラミングで構成されています。いわば既存の数学の新しい組合せです。

このデータサイエンスによる客観的な鑑定は主に筆跡鑑定の分野で、様々な学会において試みられてきました。
調査した範囲では、1967年から大学等の先生方による数学的な筆跡鑑定の論文が掲載されています。

その基本は統計学においては「標本推定」という手法です。
無論論文の中には、いくつかの克服すべき課題がありました。筆跡は同一筆者であっても、まったく同じ字画形態の文字は書けません。
したがって同じモノサシで測れるようにするためには、正規変換という手法が必要です。

その手法は位相幾何学の中にありました。その正規変換を使用することにより測定できるという道が開けました。

当鑑定所の特徴

さて個人内変動や筆者の筆跡個性をどのように判断するかについては、統計検定にある検定統計量(標本平均値を0、標本標準偏差を1にする)を使用すれば、筆跡データを変動として示すことができます。
この検定統計量は正規変換の一つの手法です。

それでは統計検定はどのような手法を使えばよいかの問題になりますが、t分布やF分布、z変換等が想定されます。
当鑑定所ではt分布を鑑定手法として採用しました。

t分布は誤差範囲を決定するのに自由度(使用した標本数マイナス使用した平均値の数)により標本平均値を0とした±の誤差範囲を求めることができる。

ここまで来てまだ解決すべき問題がありました。
それは第1種の誤り(同筆を異筆と判断する)と第2種の誤り(異筆を同筆と判断する)をいかにして解くかの課題は長い間未解決になっていました。

裁判でいう自由心証は、それを解決する一つの手法ではありますが、人間が判断するときは第1種の誤り(つまり冤罪)を避けるために第2種の誤りを犯す事例が多くありました。つまり自由心証は、同筆、異筆という押合い問題の解決を人間の判断に任せるという科学的ではない手法であります。

当時学会や数学関連の文献等で、第1種の誤り、第2種の誤りを犯さない手法の文献を探していました。2019年1月に膨大な量のある日本工業規格にこの2つの誤りを解決する手法を記載した規格を発見しました。

この2つの誤りは法曹界において真偽を判断するのに、自由心証という判断する手法しかなかったのですが、この日本工業規格により、人工知能の機械学習を使用することにより、数学的に解決できることとなりました。

第1種の誤りは同筆であるのに異筆と判断する誤りです。これは冤罪であり善人に罪を与えるようになります。
第2種の誤りは異筆であるのに同筆判断する誤りです。これは悪人を見逃し、善人に罪を与えることになります。

いずれにしてもこの第1種の誤りと第2種の誤りは善人に罪を与えることになります。
統計検定において、誤差範囲外のデータが1個あるいは2個あったとしても、異筆であるとは直ちに判断できません。そこがこの問題解決の難しいところです。
この第1種の誤りと第2種の誤りを犯さない文献が見つかったことにより、筆跡鑑定のデータサイエンス化が完成したことになります。

当鑑定所では2019年以降2020年1月に滋賀県警からの筆跡鑑定嘱託、2022年6月に東京地裁より印影の鑑定嘱託、2023年5月には石川県警よりの筆跡の鑑定嘱託を依頼されて、99.9%以上の確率で真偽判断しています。

また年間35件から53件の鑑定書や意見書には折に触れてこの文献を添付していますので、法曹界の意識変革が見受けられます。
ただ重要なことは、この第1種の誤りと第2種の誤りを犯さないためには、データサイエンスを使用した鑑定でないと極めて分かりにくいといえます。

当鑑定所が筆跡鑑定の開発を行うきっかけになったのは、たまたま筆跡鑑定書を査読する機会があったかです。このときに筆跡鑑定人が目視を主体とし、かつ全数検査ではなく抜取り検査をしている筆跡鑑定に大きな疑問を抱いていました。

当鑑定所は開業以来約450通の鑑定書や意見書を裁判所に提出しています。

裁判の判決文を読むと、異筆を同筆と判断する第2種の誤り(過誤)は3%程度発見されています。
また裁判の判決で、同筆であるのに異筆と判断する第1種の誤りはゼロではありません。
当鑑定所は裁判所に提出した筆跡鑑定書が受容されたのは、ここ5年間で95%と上昇しています。印影鑑定は98%以上となっています。

データサイエンスによる鑑定は法曹界を劇的に変えつつあります。
数学を使った鑑定書の提出を求める法曹界に変わりつつあります。

当鑑定所の事業目的

当鑑定所の事業の目的は、

  1. 筆跡の鑑定手法システムの開発と筆跡鑑定書の作成。
  2. 印影の鑑定手法システムの開発と印章鑑定書の作成。
  3. 統計検定システムの応用と解析書の作成。
  4. その他データ・サイエンスによる解析と問題解決書の作成。
  1. 測定
  2. デジタル化データの傾向となすべき解析が分かる。
  3. 解析可能数学を使用した解析手法で事実が明らかになる。
  4. 図式化数学の知見がない方でも、可視化により鑑定結果が分かりやすくなります。

これがデジタル化の極めて有効なことであり、数学で解析することにより精密かつ目視では容易に分からなかった事象が明らかになります。

理学は真実の追求のため、工学は人間の幸せの向上のために利用するといわれます。 理学と工学を利用して鑑定を深めると、これまでよく分からなかったことが見えてくるのです。

直近4年間の事例

直近4年間に裁判所に提出した鑑定書や意見書等の作成件数は

  1. 2019年
    32件
  2. 2020年
    57件
  3. 2021年
    37件
  4. 2022年
    34件

となりました。

2018年は大阪高等裁判所に筆跡鑑定(書)を提出したところ、それが採用され地裁判決の逆転勝訴を勝ち取っています。
同様に2019年から2020年には3件、2021年には全国の高裁で4件、2022年にも高裁で5件の逆転判決をいただいております。

当鑑定所の筆跡鑑定

ここで筆跡鑑定の鑑定視点を要約しますと、

  1. 筆跡鑑定は二次元半の位相幾何問題である。二次元半の半は筆圧を意味します。
  2. 筆跡鑑定には2つの目的があります。
    1. 筆者照合
      筆者が本人であるか否かの鑑定になります。民事裁判の場合です。
    2. 筆者識別
      筆者は誰であるかの鑑定になります。刑事事件の鑑定になります。

具体例として藤田鑑定人の署名を3個表示します。

この署名1個からは7通りの切り口で120成分以上のデータが検出できます。
全部で抽出できるデータはこのように膨大なデータになるので、どのデータを使用するかが鑑定人の力量であり、検出力になります。

したがって伝統的な筆跡鑑定人の鑑定手法であれば、抜取り検査でせいぜい20種類程度でしょうから、到底正確な鑑定結果が導き出されるとはいえません。

つまり当たるかもしれないし、当たらないかもしれない占いに相当するといえます。

当鑑定所の印影鑑定

印影鑑定の視点を要約しますと

  1. 印影鑑定
    1. 印影鑑定は、印章を作成するときは、機械彫りの場合はCAD/CAMの技術を知らないと鑑定できません。
      また手彫りになるとスーパーインポーズ法では正確な細部の解析が不能の場合が多いと言えます。
    2. 朱肉の付着量の大小が印影鑑定に迷いがでます。
      特に個人の印鑑登録証明書や法人の印鑑証明書提出時の朱肉は、市販の朱肉より粘着性が高く、印字幅が太く、印影鑑定を迷わせます。

藤田鑑定人の個人の印影4倍程度の拡大したものを表示します。

印鑑登録証明書の印影は実際の印影よりも文字線が太いので、どの部分をどのように測定するかが決めないと、データサイエンスにはなりません。

筆跡鑑定、印影鑑定の実際の流れ

鑑定のご依頼を受けたときは、正確に鑑定できるか否かの基礎解析を行います。

資料等の状態等が悪くて、正確に鑑定できないときは、鑑定を辞退しています。2018年から2020年の間に2件このケースがありました。

また正確に鑑定できると分かりましたら、異同診断書に鑑定結果とその主なる根拠を記載して提出します。この料金は税抜きで2万円です。

依頼人様の意向通りでなければ、それで鑑定は中断となります。鑑定の中断は4年間に4件ありました。

依頼人様のご意向通りであれば、鑑定書の作成作業に入ります。
このときの鑑定書作成費用は、お支払いいただいた異同診断書作成料金を差し引いて残額を基本2回に分けてお支払いいただいております。

時間を要したならば、その時間に対しての対価を申し受けるという考え方もあります。
当鑑定所は鑑定作業を行えば、受領した金額にかかわらず、必ず鑑定手法として当鑑定所内に蓄積されるという考え方をとっています。

このようにしてご依頼人様に経済的な負担がかからない手法をとっています。

この仕組みをご理解いただいた弁護士様からは、裁判を始める前か初期の段階で異同診断のご依頼があります。
それは裁判を進めるに当たり裁判方針を初期段階にお決めになるためと伺っています。

印章・印影問題は、精度の高い工業製品の鑑定という立場で鑑定を行っています。

もう少し具体的に説明しますと、まず重要なのは文字の大きさです。
従来の筆跡鑑定では文字単位に同じ程度の大きさに拡大して鑑定していますが、これでは100個以上のデータを見ていないことになります。

筆跡、印影鑑定について疑問点があれば、電話でお気軽にご相談いただければと存じます。様々な事情があり、ホームページに書けないこともあります。
ご相談は無料で行っております。

データ・サイエンスの一例

データ・サイエンスは想定以上の結果を導き出します。その例を示します。

ある弁護士様より、1960年代1万メートル上空の航空写真を解析して、農家の納屋の影に土地の境界となる塀が存在したか否かを鑑定してくれと依頼がありました。

鑑定画像

黄色の部分の影に塀があったか否かの問題です。

鑑定画像

赤い線の部分に確かに塀が存在したと言えます。

また筆跡の筆圧を解析してクラスター分析も最近行いました。クラスター分析は筆者識別に有効です。

鑑定画像

文字は17画の漢字ですが、特に3画と11画に筆者の筆圧の筆跡個性がありました。標本は同一筆者の筆跡で、原点付近に誤差範囲が小さく3つに固まっています。
赤い楕円が真正な筆者の誤差範囲です。

裁判で相手方は検体1ないし3は本人の筆跡であると主張しています。
検体1は遺言書、検体2は署名ありの文書、検体3も署名ありの文書です。
この解析結果では99.9%以上の確率で全く別の筆者がいるとの結果となりました。