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ご挨拶

本日は藤田筆跡解析鑑定所のホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
当所は2012年6月に鑑定所として開業し既存の科学、幾何学・統計的仮説検定・物理学・化学・人工知能等を組合せて、筆跡と印影の鑑定を行っています。
たくさんの弁護士様やご依頼者様の支援を賜り、2020年11月に株式会社として法人化を行ないました。

また去る2024年1月1日発生の能登半島地震では当地富山市でも観測史上初めて震度5強の揺れを体験しました。
幸いにも事務所や自宅は微々たる被害で済みました。ただ富山県内においても、富山市の南部海辺周辺を中心に発生した液状化現象により、原状回復に数年、数10年かかる地区もあります。
皆様には当職の安否を心配されSMS等のお見舞いお尋ねを賜り、怪我もなく無事で鑑定作業に勤しんでいることをご報告方々御礼申し上げます。

2015年以降においては、筆跡や印影の偽造手法が多様化しています。
筆跡については、臨書といわれる本人筆跡を手本としての偽筆技術が高度化し、印影についても多様な手法による偽作が行われています。
裁判においては五感による判断を重要視する歴史があり、鑑定人も五感で判断してきました。印影鑑定におけるスーパーインポーズ法などもその典型といえるでしょう。

当鑑定所はデジタル解析から始まり、現在はデータ・サイエンスによる鑑定に取組んでいます。
重要なことはデータ・サイエンスによる鑑定結果を可視化等により裁判において五感に訴える主張をすべきことだと認識し、実践しています。

現在の当鑑定所の目標は、筆跡鑑定並びに印影鑑定で99.9%以上の確率で、真偽判断できることです。現在は印影鑑定においては確実にこの実績を積み上げています。
筆跡鑑定についても、怪文書はなかなか99.9%以上の真偽判断は難しいですが、着実に実績を積み上げてきました。

2024年には遠隔会議用のZOOM環境も整えました。
それで2018年以降、都道府県警察書から2件の筆跡鑑定依頼を受けています。
地方裁判所からも1件の印影の鑑定依頼を受けています。
鑑定結果は3件とも99.9%以上の確率で真偽判断した鑑定書を提出しています。

最近のご依頼内容は遺言書をはじめとした個人法務問題の鑑定依頼や近年においては、企業間の契約書などの企業法務問題の鑑定依頼を承り、年間32件から55件程度の筆跡や印影の鑑定に尽力し、鑑定書・意見書を作成してきました。
鑑定手法もデジタル解析からデータ・サイエンスに移行し、毎年鑑定手法の機能追加や新しい手法の追加を行っています。つまり『カイゼン』を行っています。

当鑑定所の特徴は当職が企業在職中に取得した技術を鑑定手法として生かしている点にあります。
具体的にはシステム設計・プログラミングのIT関係の業務
新技術開発をはじめとした研究開発とその技術を応用した量産製品並びに既存の工業製品の生産手法の改善と開発並びに量産製品の品質管理・品質保証で蓄積した技術経験を実践に還元した筆跡鑑定であり、印影鑑定です。
また当職は書道有段者です。

当鑑定所は、論文等や公的な出版物を基本とした鑑定技術を構築してきました。
ただ論文は学術的な追求を主としているため、実用性でない場合が圧倒的に多いです。
当鑑定所では、かなりの論文を読み解いていますので詳細については、電話等でご相談いただければと存じます。

具体的にいえば、筆跡鑑定は本人が書いたとする標本の成分毎に誤差範囲を統計学を使用して計算し、鑑定筆跡の当該成分が標本の形成する誤差範囲内である否かで判断しています。
筆跡の詳細な部位に筆跡個性や個人内変動のデータが潜んでいるからです。

統計学では鑑定筆跡が偽筆であること仮説としたとき、その仮説が立証できれば偽筆、立証できなければ真筆との考え方をしています。
ですから同筆である確率が80%でも、同筆とはいえません。
残りの20%に異筆である根拠があれば異筆といえます。

また印影においては、印章を切削加工する機械の加工精度を基に、朱肉の付着量がその加工精度にどのような寸法的影響を与えるかにより誤差範囲を設定しています。
印影の場合は鑑定印影が偽造であることを仮説として鑑定に入ります。

印章の切削加工精度は超精密な工業用部品並みの精度で切削しますので、比較的容易に真偽判断ができます。ただ最近の傾向は印章で押印しない偽造印影も増えています。印影の偽造技術も過去10年間の間に何度か変遷しています。

筆跡であれ印影であれ、現在の偽造技術は目視では、容易に異同判断や真偽判断はできませんので、正確な判断が下せる鑑定人に鑑定をご依頼されたらよろしいのではないかと考えます。

当鑑定所は筆跡や印影についての異同診断を低額で行っていますので、ご相談いただければと存じます。
更に筆跡と印影など複合のご相談も増えてきましたので、これについては基礎解析鑑定制度を新設しました。

当鑑定所の鑑定はデータ・サイエンスを基にした鑑定であります。
筆跡鑑定では真正な筆者は無論人間ですから、体調不良やケガ、心身の高揚により筆跡は誤差範囲を超える場合があるので、その例外的(数学では離散性という)なデータについては、数学的あるいは論理的に解く手法が発表されており、それを適用して真偽判断しております。

改めて当職が在職中に従事した業務について要約すると

  1. IT関係の仕事では、不具合のあるシステムを出荷してはいけない。
    当鑑定所鑑定人はCOBOL,FORAN等の言語を習得しています。
    たとえば、FORTRAN習得者にとってExcel®は使いやすいツールです。
  2. 新技術の研究開発は、充分に過去の文献をまず調査しますが、よく言われるとおり99%が失敗です。
  3. 製品・工業製品は品質管理・品質保証においては1品たりとも不良品を出荷してはいけない。
    実は品質管理・品質保証の問題は常に現場で起きています。
    当初の設計段階、生産設備、生産条件、生産材料、生産設備の操作者、完成した製品の検査設備、検査員等の品質管理が重要なのです。

このような努力を継続的に努めることにより、安定した品質の製品出荷が可能となります。
目につきやすい生産原価や納期にこだわっていれば、市場に出た製品の品質問題が発生し、市場の信頼を損ねることに繋がります。

日本にとって「失われた30年」といわれるのは、コストと納期にこだわり、技術の向上と品質管理を怠ったためと考えます。
鑑定においても品質管理はまず第1番に考えなければなりません。更に新しい偽造方法が出現すれば、それを見破るだけの鑑定手法を構築していなければなりません。

当職が筆跡鑑定に関心を持ったのは、2008年でした。当時は高等数学を使用した筆跡鑑定は国内学会で発表されており、欧米でも筆跡鑑定の論文は発表されています。
どちらかといえばアカデミックな内容でした。

当時当職は個人内変動を統計学的仮説検定で解くアイデアが浮かんだのが発端です。
数学は理解しているだけは充分ではなく、使いこなさないと数学本来の持っている機能を生かせません。様々な文献を調査し、2012年6月に開業にいたりました。

以来累計で約500件の鑑定書・意見書を提出しています。最近5年間では年間32件から57件の鑑定書・意見書の作成を承っています。

ここで今日の鑑定にいたる歴史を振り返ってみます。

法科学の先駆者と日本の鑑定の歴史

法科学の先駆者とされるのは1877年生まれのフランス リヨン大学出身のエドモン・ロカールである。(フランス人)
大学で医学と法学を学びリヨン大学の犯罪学の教授を勤め、1910年に自身の犯罪研究所を設立しました。

このロカール教授は「すべての接触には痕跡が残る」とし、1936年に筆跡鑑定についての著作を残している。またリヨン警察内に初の警察研究所を設立しています。
ロカールは筆跡鑑定の方法論の基礎としての鑑定項目は「相似性」、「相異性」、「稀少性」、「常同性」の4つの必要性を示しています。

ロカールが筆跡鑑定の著作を記した1936年にはドーバー海峡を挟んだ英国において、ロナルド・フィッシャーらにより統計学がすでに完成している。この統計学が完成と呼べるのは、標本数が2個から無限大まで扱えるとことにあります。
ロカールが犯罪学に統計学を取り入れた研究を行った形跡は調査した範囲では見つからないが、「すべての接触には痕跡が残る」との着想は、その後の世界の刑事事件捜査に大きな影響を与えていると考えられ、日本も例外ではないと思われます。

世界には5000あるいは6000種類を超えるといわれる言語があり、文字は400種ある。
ところが新聞や雑誌等公に使用されている文字数は28種類しかありません。
無論28種類の文字は、大きく2つに分ければ欧米圏で使用されている署名文字は主に一筆書きであります。
日本を主とした東南アジアや中央アジアでは、通常は一文字毎に離れています。

日本の筆跡鑑定は、中国発祥の書道の書字活動解析が大きく影響し、用語もそのまま使用していることがあり、日本の筆跡鑑定では「筆順」、「点画の構成」、「筆勢」、「筆圧」、「誤字・誤用」、「個人内変動」、「稀少性」が主な解析項目であります。

このうち「筆順」、「誤字・誤用」は目視でも判断可能であります。しかし「点画の構成」、「筆圧」、「個人内変動」は目視では容易に分からない。また「稀少性」については分母にあたる標本数が重要であり、相当以前から伝統的筆跡鑑定人の間では「稀少性」を鑑定書に記載する場合は比較対象とする文字の分母、つまり標本数が5000字位必要なのか、10000字位必要なのかの議論がなされていた。

日本国内の学会においては、統計学を礎とした1800年代後半英国ロンドン大学教授のK.ピアソンの相関係数(文字の2次元データを基にそのデータをクラスター分析し筆者の相関を調べることと、筆者識別等を行う手法)や前述英国のフィッシャーが提唱する分散分析(分かりやすくいえば標準偏差の二乗のデータを基にして鑑定する手法)が1960年代から試みられています。特に分散分析の手法は欧米の学会を中心に活発に開発されています。

いずれも幾何学と統計学の融合であるが、切り口が一つであります。
相関分析や分散分析は海外の学会でも試みられている。それと多変量解析との組み合わせもあります。
数学的な知見がないと分かりませんが、当鑑定所が鑑定書に記載している筆跡あるいは印影のどの部分が誤差範囲を超えているかの記載は、残念ながら見たことがありません。

ここで重要なことは、筆跡鑑定問題は大きく分けて1群2択、1群3択問題であります。
1群は筆者識別(誰が書いたか)、筆者照合(本人が書いたか)、もう1群は自然に書かれた筆跡か、作為的に似せて書かれた筆跡か、作為的に自分の筆跡を隠して書いたか(韜晦文字といいます)、であります。

相関分析や分散分析では、詳細なデータを使っていないか、捨てています。
これにより、検体のどの部位が誤差範囲を超えているかとの記載ができないのであります。

相関分析や分散分析では筆者識別も確率算出も同一筆者ではない可能性が高い・同一筆者である可能性は70%程度・同一筆者である可能性は低いとの判断となります。
鑑定標本データや鑑定データが少なくなると、このような結果となります。

つまり学会で行なっているのは抜取り検査であります。
品質管理を習得していれば、抜取りであれば抜取り検査が正しいという根拠が必要であります。何回か全数検査をして、その結果により抜取り検査条件を決定すります。

筆跡鑑定であれ、印影鑑定であれ筆跡、印影を見るのは初見であります。
初見では抜取り検査の根拠が取れるはずもなく、全数検査が必須であります。

長い間の筆跡鑑定や印影鑑定の歴史があるが、品質管理の視点が全く入っていなかったのは残念なことであります。
本来全数検査すべきところを、抜取り検査をしていれば鑑定検査の信頼性は疑わざるを得ません。

抜取り検査はデータを捨てることである。データ・サイエンスにとっては避けるべきことであります。
目視で異筆、同筆を判断できる時代はとっくに終了しています。
それだけ偽造技術が向上しているし、ありとあらゆる科学技術を使用しての偽造がまん延しています。

筆跡鑑定で一番難しいのは自分の筆跡を隠して書く、韜晦文字であります。
韜晦文字の鑑定には人工知能の(教師なし機械学習)を統計学的仮説検定と併用して使用する場合が多いといえます。
統計学を理解しないと正確な鑑定は出来ない時代はすでに到来しています。

これまでの筆跡鑑定の問題点とその解決策

  1. 筆跡鑑定で重要なことは同一筆者が同一文字を書いても全く同じ文字を書くことができません。
    それを一文字単位で同じ大きさにしても測定できるデータは限られています。
    標本、検体を正確に測定するためには、『同じモノサシ』で測れる幾何変換が必要であり、幾何変換を行うことによって測定が可能になります。
    幾何変換で同じ大きさにする方法は、数学辞典には2つの掲載があります。
    学会の論文等に記載されている同じ大きさの文字に変換する方法を調査した。
    調査した範囲では数学辞典には2つの手法があると記載されており、当鑑定所ではその一つを使用している。もう一つはアカデミックであり、これをテスト的に使用した論文は調査した範囲では1件だけ見つけることできました。
  2. 鑑定は真偽判断する2択問題であるので、鑑定手法が科学的に正確でなくても答えはでます。
    したがって研究した鑑定手法の改善すべき課題を見出すことができないために鑑定手法が旧態依然で、新しい偽造手法にマッチしなくなると考えられます。

令和は平成時代に日本が価格や納期を優先するために失った品質を取り戻す時期であります。品質管理が悪いと大企業でもたちまち存在をなくします。
品質管理が悪いと、消費者を失う。鑑定では法曹界も鑑定依頼者をも失ないます。
そこを肝に愛じないといけません。

筆跡鑑定に人工知能(教師なし)の機械学習は必須です。
このことすら、既存の筆跡鑑定人は気づいていません。

鑑定手法事例

3個の署名鑑定で鑑定手法によるデータ取得数の差を呈示します。

(1) 署名検体と署名標本を実寸で表示

標本1(2022年11月18日)
標本1(2022年11月18日)
標本2(2023年1月17日)
標本2(2023年1月17日)
標本3(2023年1月17日)
標本3(2023年1月17日)

上記3個の署名より、1標本あたり2種類33データが測定できます。この3つの署名は目視でも分かる通り、同じ大きさではありません。

データ・サイエンスでは、できるだけ多くのデータを得ることが大事です。

(2) 文字を概ね同じ大きさに拡大する

上記のように3個の標本の一部映像を同じ程度の大きさに拡大した図です。
この手法では数学では1種類1データだけ取得できます
1標本あたり1種類1データ以外は測定しても科学的な意味がありません。

目視で8画の長さの変動が大きいといても、印象だけです。変動が大きいとは科学的に何を意味するのでしょうか?

厳密な科学鑑定の視点に立てば、提示した(1) 実寸、(2) 文字の大きさをほぼ同じ大きさに拡大するでは、取得できるデータが極めて少ない。

当鑑定所は、筆跡鑑定及び印影鑑定を行うには、文字映像を幾何問題として解きます。
幾何問題であるので、数学的根拠のある補助線を引けること、その引いた補助線で文字映像を変換後、測定して得たデータは数学での意味を持ちます。幾何学で測定して、意味のあるデータを取得できる幾何変換は2種類あるが、当鑑定所では、そのうちの1種類の幾何変換を使用しています。

筆跡鑑定では、2018年3月に大阪高裁で当鑑定所が署名の筆跡鑑定(書)を提出したところ逆転勝訴となり、相手方が最高裁に上告申し立てをしたところ同年9月に最高裁が下した判断は上告棄却、上告理由書不受理でした。
当鑑定所はその時に使用した鑑定手法を更に可視化して筆跡鑑定を行なっています

印影鑑定については2022年9月の東京地裁に提出し、勝訴した印影鑑定書の鑑定手法を更に改善して鑑定を行っています。
この事件は会社代表者印の偽造事件が3件あったうちの1件で、この判決後相手方は他の2件を取り下げたと推定されます。

正規変換(同じモノサシで測れるようにする)

下記文字映像は幾何学を使用して得られた映像であり、画等の測定値は科学的意味を持ちます。
下記映像は補助線を消している。また使用した補助線のパラメータは任意に変更できるので、最適な補助線を見極めなければなりません。

標本1(2022年11月18日)
標本1(2022年11月18日)
標本2(2023年1月17日)
標本2(2023年1月17日)
標本3(2023年1月17日)
標本3(2023年1月17日)

この手法では、1標本、1検体あたり12種類360データが取得できます。
当所で鑑定書作成時は3種類程度の異なるデータ解析を使用しています。

上記署名筆跡データの鑑定のほんの1例
上記署名筆跡データの鑑定のほんの1例

これは署名画等の長さを測定した例です。
赤線の平均値に対して、3つの標本のパターンが似ています。
また異なる切り口でその署名を解析すると

解析データ1

データが約0.030から0.400までの統計データとしては広い範囲で分散しています。
このデータが意味することは

  1. 広い範囲で分散していることは、筆者の筆速が速いことを意味します。
  2. これだけ広い範囲に分散し、かつ0.100未満に1/4のデータがあるので、偽造は難しいといえます。

更にいくつかのパターン分析が可能であります。

誤差範囲の検定

図はt検定で誤差範囲を決めて、3つの標本が誤差範囲内か否かを確認している図である。標本が3個あり、平均値を1個使用するので、誤差範囲は±2.920である。

このように詳細なデータを全数検査することにより、検体が誤差範囲内であるか否かを正確に鑑定することができます。
署名データの鑑定結果では3つの標本が同一筆者である確率は1.000(100%)であります。

当鑑定所では、筆跡が同筆(真)である確率は少なくとも0.999(99.9%)以上、異筆(偽)である確率も0.999(99.9%)以上の鑑定結果を目指しています。
この署名鑑定の特徴は、姓だけ、名だけでも鑑定できます。ただし、書いている途中では鑑定できないという特徴があります。

最近の筆跡・印影の裁判の協働体制と偽造手法の傾向について

昨年当初よりご依頼人様からの直接のご依頼よりも、弁護士様を通じてのご依頼が増えています。
このことはご依頼内容が複雑化し、弁護士様と鑑定人が協働体制をとる機会が増えています。

当鑑定所の鑑定は幾何学と統計学と品質管理の融合であります。
幾何学は補助線を引いて測定し、答えを探し求める探索仕事であります。

当鑑定所の筆跡鑑定はルーティンワークではありません。
探索仕事であるので、偽造の見落としは極めて少ないのであります。

2018年以降当鑑定所では幾何学、統計学、品質管理、物理学、化学、人工知能を総動員して鑑定を行っている。鑑定業務は総合科学的な知見が要求される時代となりました。

科学がもたらす成果は常に現状での最適解であり、鑑定人は更なるカイゼンを怠ってはならない。

科学を駆使し多数の切り口をもち、当鑑定所は真である確率が0.999(99.9%以上)、偽である確率も0.999(99.9%)以上を目指して年間35件以上の鑑定書と意見書の裁判所提出の実績を6年以上も積み重ねています。

ここ2018年以降急激に偽造技術が向上した。したがって2018年以前の鑑定実績は意味のない数字といえます。

本年に入りまして、契約書や自筆遺言書の署名や印影の複合した鑑定のご依頼が増えてまいりました。
そこで1件の疑問筆跡や1件の疑問印影を対象とした旧来の異同診断書相当の内容の書類を発行して、裁判の向性をお伝えするシステムを追加しました。

複数の鑑定案件にお答えする基礎解析書を新設しました。4件までの疑問案件にお応えするシステムです。
これにより従来の異同診断書より正確な裁判戦略をたてることができます。

基礎解析書の作成料金は税込みで¥44,000.-です。
気軽にご照会賜れば幸甚です。

昨年来遺産相続問題で2件の私文書偽造を発見しています。
明かに刑事事件であります。
当鑑定所は開業以来このような悪質な偽造事件続くのは、異例かつ遺憾であります。
そこまで筆跡鑑定人の技術が軽視されているのです。

平成以降の30年あるいは40年は日本にとって「失われた30年、あるいは失われた40年」といわれます。
平成の始め頃は、日本の技術は世界のトップレベルにあるといわれました。

しかし平成の終わりことは、日本はメイン技術のインターネットで世界のGAFAの技術に明らか遅れをとりました。また近未来の技術である人工知能の開発にも大きく遅れを取っています。
画像処理やインターネット、人工知能は海外のメーカーのアプリケーションを購入して使用せざるをえません。

この失われた30年ないし40年、日本国内では何をしていたのでしょうか?
QCDと呼ばれるCD(コストとデリバリー)に注力していたと思われます。
技術開発をしてQ(クオリティ)を高めることを怠っていたのです。

今はすべてのことに品質が問われる時代です。そのことを忘れては鑑定人の仕事も立ち行かなくなります。改めて肝に銘じましょう、『品質管理』と。
鑑定のご相談は、電話・FAX・SMSにて承ります。

直近5年間の事例

直近5年間に裁判所に提出した鑑定書や意見書等の作成件数は

  1. 2019年
    32件
  2. 2020年
    57件
  3. 2021年
    37件
  4. 2022年
    32件
  5. 2023年
    32件

となりました。

2018年は大阪高等裁判所に筆跡鑑定(書)を提出したところ、それが採用され地裁判決の逆転勝訴を勝ち取っています。
同様に2019年から2020年には3件、2021年には全国の高裁で4件、2022年にも高裁で5件の逆転判決をいただいております。

データ・サイエンスの一例

データ・サイエンスは想定以上の結果を導き出します。その例を示します。

ある弁護士様より、1960年代1万メートル上空の航空写真を解析して、農家の納屋の影に土地の境界となる塀が存在したか否かを鑑定してくれと依頼がありました。

鑑定画像

黄色の部分の影に塀があったか否かの問題です。

鑑定画像

赤い線の部分に確かに塀が存在したと言えます。

また筆跡の筆圧を解析してクラスター分析も最近行いました。クラスター分析は筆者識別に有効です。

鑑定画像

文字は17画の漢字ですが、特に3画と11画に筆者の筆圧の筆跡個性がありました。標本は同一筆者の筆跡で、原点付近に誤差範囲が小さく3つに固まっています。
赤い楕円が真正な筆者の誤差範囲です。

裁判で相手方は検体1ないし3は本人の筆跡であると主張しています。
検体1は遺言書、検体2は署名ありの文書、検体3も署名ありの文書です。
この解析結果では99.9%以上の確率で全く別の筆者がいるとの結果となりました。